「もまん」 「モンシャ」 「ぱー。ら)、らやりやらゆら」 俺の家に勝手に住み着いた白くて丸っこい謎の生物。 ...一人暮らしに寂しさを感じたのでなんとなく滞在を許してはいるが、なんなんだろうかコイツら。 それぞれ (∩'-'⊂)もまん (∩´6門6`⊂)門マン (∩゜-。⊂)ぱーら と鳴き声のままに名付けたが、これで名前が合っているのかもわからない。 「モンシャ...モンシャ...」ドン 「モマッ!」 「ゲーム機持ってきてる...」 門マンと呼んでいる生物...生物?が最新ゲーム機を持ってきて、俺のテレビへと勝手に接続している。電気代増えるからやめて欲しい。 うわ、しかも発売されたばかりの最新ゲーム機だ。しかも値段がさらに張る性能がいいプロモデルのやつ。こんな見た目のくせに収入が俺よりあったりするんじゃないか?そう考えると腹立つな...。 「ヴァーンキッシュソウル!」 インスタントコーヒーを淹れてソファでゆっくりしているうちに配線をつなぎ終わったらしい。テレビから、男女の交差するようなタイトルコールが聞こえてきた。 画面にはアニメ調の男女のキャラが並んでいて、それぞれ格闘家のように構えを取っていた。 家主だし...あとでやらせてくれないかなこのゲーム。 「モマッ...モマッ」 「モンシャ」 もまんと門マンと呼んでるやつらが、それぞれキャラの選択画面で色んなキャラを眺めて悩んでいた。 無難なアクションゲームか何かと思っていたが、格闘ゲームなのかこれ。割とセンスが渋いなこいつら。 「モマッ!シコココココ」 もまんが、海外3Dアニメとかで見るような獣人の露出度の高い女キャラを選んだ。片手を高速で上下に動かすような仕草をしながら。きもい。 俺の部屋に置いてた雑誌のグラビア見てもこの動作してたし...興奮した時の動作なのか? なんかもう、こいつらを窓から外に放り出したくなってきたよ。 「...モンシャ!」 門マンがゴツい体をしたサイボーグのキャラを選んだ。 目線が説明書のキャラ説明の欄に向かってたのでその視線を追うと...投げが得意なキャラと書いていた。 そういうキャラが好きなのか? 「デュエル1 take Your Soul!」 キャラ選択が終わると、掛け声とともに試合が始まった。 新しいゲームなので動作は分かっていないようだ、お互いどう動くかを確かめるように動かしていた。 「モンシャ!」ボーガーバスター! 「モマッ!?」 お互いコマンドを試していた所に突然門マンが攻撃を仕掛けた。せこっ。 門マンは性格が悪い。格闘ゲームの事は詳しくないが、このキャラを選んだのも恐らく嫌がらせ目的に違いない。 「モンシャシャシャ」 そうこうしているうちに門マンが1勝をもぎ取った。変な笑いのような声を上げて上機嫌そうだ...ズルで勝ったくせに。 「デュエル2 take Your Soul!」 門マンが勝っていたがラウンドを取っただけでゲームの勝ちにならないようだ。ゲーム内の勝利表記を見るにこのゲームは2回勝利すれば勝ちなのだろう。 「モマッモマッ」 「モンシャ~~!」 ズルがあった1戦目とは違い、勝負は拮抗しているようでお互いの体力ゲージは均等に削れていた。 「もまん」ビーストアーツ! 「モンシャャアアアア」 もまんが獣人女の必殺技を決めてギリギリの勝負を制した。 この二匹のゲームスキルは同じくらいなのか。 「デュエル3 take Your Soul!」 「モンシャ!」シュート! 「モママママママ!」ソウルストライク! お互い白熱しているようで、2匹の声もゲーム内の音声も激しくなっている。 まあテクニックも何もない適当な技振ってるだけだけど。 「モンシャ!」ピキーン! 門マンがとどめの一撃と言わんばかりに必殺技を使用した。 が...。 「モマッ!」 「シャ!?」スカッ ギリギリのところでもまんのキャラが必殺技をよけた。 「モマッ!」ビーストアーツ! 「モンシャャアアアア!!モンャア!」 「パンテラ、ウィン!」 返す刀で必殺技を返してもまんの勝利となった。 キレた門マンが床にコントローラーを投げた。やめろ床に凹みができる。 「ぱーらー」 見かねたぱーらと呼んでいる個体がお、盆を頭に乗せてジュースを運んできた。 俺の分も含めてジュースを渡してくる。優しい性格だよなコイツは。 ...まあ俺の家の冷蔵庫から持ってきたジュースなんだけどな。