[main]
:
────夜の街にネオンが灯る。
繁華街の一角、“誰にも気にされないような場所”にそのバーはあった。
[main]
:
バー“meh”。
meh。どうでもいい、意味のない、凡庸な、とりとめる価値もない。
そのバーが意味を持たないからか、意味を持たない事を期待された故の名か。
[main]
:
いずれにせよ、このバーには大きなひとつの役割がある。
それは、“中立地帯”である事だ。
バー“meh”には、一般客は入ることができない。
オーヴァードでないと見つけられない痕跡に気付けなければ、招かれる事はない。
それを乗り越えた先、そのバー内での規則は……あらゆる組織間のしがらみを無視し、互いに一定の不干渉を貫くことだ。
[main]
:
無論、情報収集の場として使われる事はある。
しかし、“それ以上”は決して行ってはならない。
ルール
それがこの場での社交儀礼。
[main] バーテンダー : 「いらっしゃいませ」
[main] : 今宵もまた、バーのベルの音が鳴った。
[main] :
[main]
ハセベ :
余程気に入ったのか、またしても、少年はこのバーへと足を運んでいた。
足の付かない椅子に座って、ノンアルコールカクテルを口にしている。
[main]
ハセベ :
“ソリューションマスター”の称号を持つ少年は、その場ではただの少年も同等だ。
FHも、UGNも、ゼノスも関係なく、ただの少年としてそこに座っていた。
[main]
ハセベ :
先日よりかは緊張も解れている。
自然体の様子で過ごしていることだろう。
[main]
ハセベ :
「えっ、と。マスターさん」
「オススメのメニューとかってありますか?」
[main]
バーテンダー :
「おすすめ、オススメですか」
僅かに考えて。
「今の季節ですし、良い鮭も手に入っていますので……おつまみに秋鮭のカルパッチョなどは如何でしょう?」
[main] ハセベ : 「かるぱっちょ」
[main] バーテンダー : 多分わかってなさそう。
[main]
バーテンダー :
「カルパッチョは、生の肉や魚肉に調味料を掛けた料理ですね」
「さっぱりとした味わいで美味しいですよ」
[main] ハセベ : 「……じゃあ、それで!」
[main] バーテンダー : 「かしこまりました」
[main] バーテンダー : 奥のキッチンへと引っ込み、しばらくして。
[main] バーテンダー : 「お待たせ致しました。秋鮭のカルパッチョです」
[main] ハセベ : 「おお……美味しそう……!」
[main] ハセベ : 両手を合わせて、頂きますと呟いてから口に運ぶ。
[main]
ハセベ :
「……!!」
弾けんばかりの笑顔。
[main] ハセベ : 「おいしいです! ……これ、美味しい!」
[main]
バーテンダー :
かわ
いー。
[main]
ハセベ :
「……でも、あの」
「なんでこのお店、“普通の人”に開けてないんですか?」
[main]
ハセベ :
「料理、すごい美味しいし。ドリンクもそう」
「場所もアクセス悪くないし……」
[main]
バーテンダー :
「そうですね、お客様は──」
「この店を居心地良く思って頂けていますか?」
[main]
ハセベ :
「え?」
「え、と、そうですね。また来るくらい、には」
[main]
バーテンダー :
「それこそが理由です」
「“オーヴァードである事を隠さなくて良い場所”」
「“あらゆるしがらみを考えなくて良い場所”」
「それが必要だと思ったので、作った次第」
[main] ハセベ : 「………なる、ほど」
[main] ハセベ : ありがとうございます、と呟けば、再びカルパッチョを口に運ぶ。
[main] ハセベ : おいしい!
[main] バーテンダー : かわいい~。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「お邪魔致しますわ!」扉を開けて、少女が店に入ってくる
静謐な雰囲気の店には、ともすれば場違いにも思えるかもしれない
[main] エミリア・C・コードウェル : あと単純に店の年齢層的に。
[main]
バーテンダー :
「いらっしゃいませ」
バーテンダーはにこりと微笑む。
[main] バーテンダー : ……最近若いお客さんが多いなぁ、とは、ちょっとだけ思ったが。
[main] 世明 光 : 「お邪魔する、よ」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「美味しいご飯のお店があると聞いてきましたわ!間違っていないかしら!」天真爛漫な様子で問いかける
[main] 世明 光 : 眠そうというか、その少女は永眠しそうだった。
[main]
バーテンダー :
「いらっしゃいませ」
「……おや、その様な評価が流れていましたか。ありがたい事です」
[main]
バーテンダー :
「……あ、あのお客様。体調が優れませんか?」
「奥に休憩室も御座いますのでよろしければ……」
[main]
世明 光 :
「……」ちらと後ろを見る
うん、間違ってないよな。
ここは普通のバー……に見える。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「間違いないようですわね!無駄足にならずに済みましたわ!」ぴょんこと音の立ちそうな軽快な足取りでカウンターの席へ
「お隣、よろしいかしら!」ハセベ君へ
[main]
世明 光 :
「ああうん、心配には及ばない、よ?」
「何しろとっくに通り越しちゃってるから、ね」
けらけらと笑った。
[main] 世明 光 : 「ん……明太子クリームパスタで」
[main]
ハセベ :
「あ、大丈夫ですよ」
にこ、と笑って。
──本来書類上では既に知っている、が。
顔写真が無かったためか、それと彼女は繋がらない。
[main]
バーテンダー :
大丈夫かな…大丈夫かな…。
まあ本人が大丈夫って言うなら……。
[main]
バーテンダー :
「……かしこまりました」
平常モードに切り替える。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「感謝致しますわ!」
彼女の元に情報源である少年が駆け付けるのは、今少し後の事である。
今はまだ、何も知らない少女として、にこりと笑って礼を言う。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「うぅん……おさかながメインのお店なのかしら!」少年の食べているものと、明太パスタの注文を聞いて
[main]
世明 光 :
「むふふ……もうずっとこれが平常運転だからね」
「あんまり心配されなくなっちゃったから、けっこう新鮮だった、よ?」
[main]
バーテンダー :
「魚介以外も御座いますよ。秋頃は……魚介が旬ですからね」
明太子って秋が旬だっけ?まあいいや。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「それは何よりですわ!……ううん」メニューとにらめっこをする。何が食べたい気分だろうか……
[main]
世明 光 :
スケトウダラは冬だねぇ
12月~2、3月くらいかな
[main] バーテンダー : この世には夏か冬しかないから相対的に……旬だな!
[main] エミリア・C・コードウェル : そうだね×1
[main] 世明 光 : ヨシ!
[main] エミリア・C・コードウェル : (肉食べてぇですわね……でも淑女(レディ)として一人だけステーキを食べているというのもいかがなものかしら……)
[main] 世明 光 : 「あ、ごめんマスター。高菜ある?」
[main] バーテンダー : 「ああ、御座いますよ」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「……ステーキ頂きますわ!」欲に負けた。
[main] 世明 光 : 「パスタに一緒に入れて欲しいな!」
[main]
バーテンダー :
「かしこまりました」
ふたりに向けて笑みで答える。
そうして奥のキッチンへと一度引っ込んだ。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「さて……今のうちにデザートも吟味しておく必要がありますわね!」メニューの後ろの方をぺらぺら
[main]
世明 光 :
(はきはきしたお嬢さんだなぁ)
ドリンクのページをめくりますか。
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ハセベ :
「デザート! ……いいですね、アリですね!」
美味しいものを食べて、すっかりとご機嫌。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「そうですわよ!別腹というやつですわ!」
「デザートも美味しいところだと嬉しい限りですわね!」むむむ……と悩みつつ
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世明 光 :
「ふむ」ぱたん
ドリンクはご飯来てからでいいかな。
このまま二人を眺めるのもいいか……。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「……何個か食べたいものがありますけれど決め切れませんわ!良ければ一緒に頼んで半分こ致しませんこと?」ハセベ君に。
「……そちらの方も!」世明さんに。
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世明 光 :
「あ、私?」
のそのそ歩いていきます。
多分デザートのことだろうな。
ご相伴にあずかれるなら、そうしよう。
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ハセベ :
「お、いいですね。しぇあはぴ!」
最近どっかで見たワード。多分意味はあってるはず。
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世明 光 :
「ちょっと懐かしい響きだ、ね」
毎年11月11日に流行っている気がする。
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エミリア・C・コードウェル :
「しぇあはぴ!」意味はよく分かっていない
「そうですわ!残すのはもったいないですけれど、分けるなら問題ありませんもの!」
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世明 光 :
「んじゃあ……そうだなぁ」
しょっぱいものの後だし甘ったるいものを選ぼうか。
そして少し量の多いもの……。
[main]
世明 光 :
「じゃ、もものコンポートにしようかな」
いつもなら確実に残すとんでもない甘さだが、複数人ならちょうどいいだろう。
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ハセベ :
「こんぽーと」
「……いいですね!」
多分わかってない。けど多分美味しいのだろう。
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エミリア・C・コードウェル :
「シロップに漬けたやつですわね!いいですわね!」
「わたくしは何にすべきかしら……貴方は何になさるのかしら!」ハセベ君のチョイスを聞いてみよう
[main]
ハセベ :
「俺は……そうだなー」
ペラペラ、とメニューを捲って。
「あ、パンケーキ美味しそうですね!量も結構多そうだし……これにします!」
たまたま写真が掲載されていたパンケーキを指差した。
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世明 光 :
「ああ、付け合わせにしてもいいかも、ね」
パンケーキ。シロップとかクリームがないなら十分コンポートはその役目を果たせるだろう。
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エミリア・C・コードウェル :
「パンケーキ!いいですわね……!」悩んでいた中の一つだ、ありがたい
単体だとぱさつきがちでもあるし、コンポートとの相性も良さそうだ
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「じゃあわたくしは……」ぺらぺら
この組み合わせだとクリーム系のなにがしかが食べたいところだ
[main] エミリア・C・コードウェル : 「ミルクレープ!これに致しますわ!」クレープ生地とクリームを層状に重ねた結構手作りすると手間そうなデザートである
[main]
ハセベ :
「お、美味しそう! いいですねー」
「こんぽーとに、パンケーキに、ミルクレープ。豪華だ……!」
[main] 世明 光 : 「んふふ、しょっぱい料理選んで正解だった、ね」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「一人で食べようとするとご飯の後だと重いですけれど、分け合えばそんなに気にならないはずですわ!」
[main] ハセベ : 「ですね。良い提案、ありがとうございます」
[main]
世明 光 :
「ご相伴させてもらう、よ」
「ふふ、どうもね」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「初対面でしたけれど、提案を聞いてもらえて感謝しますわ!」
[main]
ハセベ :
「まあ、ほら。ここで拒否するのも……なんか、ちょっとですし」
「乗った方が楽しいですから。絶対」
[main]
世明 光 :
「ふふ、構わない、よ」
「ちょうど、久々に運動して少し多めに食べたい気分だったから」
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「それならよかったですわ!良い方達ですわね、貴方達!」ふふんと得意げ
「店長さんが戻ってき次第それで注文いたしますわ!」
[main] バーテンダー : 少しして、バーテンダーが戻る。
[main]
バーテンダー :
「お待たせしました、明太子クリームパスタの高菜乗せと、ステーキでございます」
「そして……桃のコンポート、パンケーキのシロップクリーム抜き、ミルクレープでよろしいでしょうか?」
ぱちり、とウィンクして見せる。
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エミリア・C・コードウェル :
「ありがとうございますわ!」皿を受け取り
「!聞いておられましたのね!それでお願いいたしますわ!」ちょっと驚きつつ喜んで
[main] 世明 光 : 「おおうマルチタスク。よろしくお願いする、ね」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「お店の人に怒られないかちょっと不安でしたけれど、お店の人もいい方ですわね!」
[main]
バーテンダー :
「いえいえ。ご注文して頂けるならそれに越した事はありませんしね」
くすりと笑って再び厨房に戻っていった。
[main]
世明 光 :
「それじゃ、いただきます」
備え付けのフォークをゆっくりと手に取る。
スプーンは使わずくるくると、麺とクリーム、高菜を巻き取っていく。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「頂きますわ!」冷めないうちに頂かねば無作法というもの……
ナイフとフォークで優雅に……とはいかないが、適度な大きさに切り分けて口に運ぶ
[main] エミリア・C・コードウェル : 「ん~……!!!」足をぱたぱたさせている。美味しかったようだ
[main]
世明 光 :
「あも」
ピリ辛の高菜とプチプチ食感の魚卵。その刺激をクリームが優しく包み込む。
至福という言葉は、まさにこの瞬間のためにあるようなものだろう。
[main]
ハセベ :
「……美味しいものって……幸せになりますよね……!」
ふたりの様子を見てしみじみと。
食欲は人間の根源の欲求のひとつだ。
[main]
世明 光 :
「ふふふ……幸せぇ……」
へにゃぁと、表情を綻ばせた。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「全くその通りですわ……!焼き加減も丁寧ですしソースも絶品で……!ほっぺが落ちそうになりますわ……!」
[main] ハセベ : マスターさんにも聞かせてあげたかったなぁ……なんて思いつつ。
[main]
世明 光 :
(もくもく食べ進める)
(久々に頭が安らいでいく感触だった)
[main] エミリア・C・コードウェル : 「デザートにも大いに期待できますわね……!」もっきゅもっきゅ食べてる。減るペースは相当早い
[main] 世明 光 : (機械で区切られるようにパスタとソースが巻き取られ、光の口に運ばれていく)
[main] 世明 光 : 「んふふ……リピートしよ」
[main]
バーテンダー :
少しして、丁度料理が空になった頃。
とってもご機嫌なバーテンダーがデザートを手に戻ってくる。
[main]
バーテンダー :
「お待たせしました!コンポート、パンケーキ、ミルクレープです」
取り分け皿も3人分用意して、それぞれの前に渡す。
[main]
世明 光 :
「ごちそうさま、と」
タイミングがいい。このまま食器を片付けてもらおう。
ソース一滴、高菜ひとかけら残らない皿が差し出された。
「美味しかった、よ!」
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「狙い澄ましたかのようなタイミング……!相当できる方ですわ……!」
「ありがとうございますわ!細やかな配慮とてもありがたいですわ!」
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「そうですわね!とても美味しかったですわ!」
「また来ますわね!」
[main]
バーテンダー :
「えへへ。ありがとうございます」
「店を持つものとしてこれほど嬉しい事はない!」
[main] 世明 光 : (幸せそうだなぁ……)
[main] エミリア・C・コードウェル : 「ではデザートの方も頂きますわ!」ミルクレープを小皿に取り分けて、2つを2人の方へやってから食べ始める
[main]
世明 光 :
こちらもコンポートを三つに分けましょうか。
ミルクレープも受け取ります。
[main]
ハセベ :
同じくパンケーキも三等分。
食べやすいように小さめに切って。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「~~~……!とろけるような美味しさですわ……!」暴力的なまでの甘さに身悶えしながら白旗を上げる
[main]
世明 光 :
「もしゃ」
まずはコンポートを一口。果実そのものの口当たりと濃厚な味がぶわ、と広がった。
[main] 世明 光 : 「どれ、ミルクレープも」
[main] エミリア・C・コードウェル : ぷつりと噛み切れば容易く生地は寸断され、舌の上で体温に溶ける生クリームと共に喉へと伝っていく。その過程で多分な幸福感を与えながら。
[main]
世明 光 :
なるほど、こちらは先ほどのガツンとくる甘さと比較して優し気な味わい。
くど過ぎない甘さが、先ほどとは違った美味しさを伝えてくれる……
[main] エミリア・C・コードウェル : 「ふぅ……美味しかったですわね……」完敗した。心地よいまでの敗北であった。口内を蹂躙され尽くしたというのに後に残るのは清々しさだけだった。
[main]
ハセベ :
「ん……!」
ミルクレープを一口。
まろやかな甘さに目を見開いて。
「んん~~……」
コンポートを一口。
フルーティな甘さにしみじみと感じ入って。
「ほあ……」
パンケーキを一口。
それらの甘さを包み込む優しい味に感嘆を漏らす。
[main]
ハセベ :
「美味しい……」
しみじみ。
[main] 世明 光 : 「さて、パンケーキをと」
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「では、こちらも……」パンケーキをまずは一口。バターの香りがふわりと広がる
「んん……!」香ばしい焼き目のさくりとした感触と、内側に潜むふしゃりとした生地の舌触りに何も言えなくなる
[main]
世明 光 :
コンポートを上にのせてぱくり。
ざっくりした食感からふかふかの食感まで時間はかからない。
ベストな焼き加減で、大変GOOD。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「こちらも……」なにも掛けない状態でも十二分に美味しかった。では、付け合わせるとよいとされたコンポートと一緒に……
「……!」染みたシロップを吸ってしっとりとした生地は、乾燥した時とはまた別の顔を見せ……ほろりと崩れて、噛み締めるたびに染み出すパンケーキと、じゃくりと歯で噛み切れていくコンポートの感触のギャップを一口の中に楽しむ
[main]
世明 光 :
「……マスター」
「珈琲、ブラックで。豆はおまかせする、ね」
うん、分け合うとはいえ甘さレベルがちょっと高すぎたかもしれない。
[main]
バーテンダー :
「かしこまりました」
表情は緩みっぱなし。嬉しいゲージが頂点を超えた。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「ふぅ……」一口食べ終わって溜息
悩んだ末に全部食べたい!して正解だった。全部美味しい。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
しかし付け合わせの立場に甘んじさせるのはよくない。
今度はコンポートだけで一口。
[main] 世明 光 : 「ふふふ……甘く見ていた。甘味だけに」
[main]
エミリア・C・コードウェル :
単品で食べる果肉は、付け合わせるために欠片にしたときよりもなおジューシーで、齧れば桃の風味をより強く感じる。
バターの柔らかな香りと香ばしさの混ざりあった風味もよかったが、フルーツ単体の微かな香りは霞んでしまっていたかもしれない。
[main] エミリア・C・コードウェル : 「……食べ終わってしまいましたわね」幸福な時間は長くは続かない。そして見立て通り、この量でちょうど満腹といったところだ。
[main] バーテンダー : 丁度エミリアが食べ終わるタイミングで、光の前にコーヒーが差し出された。
[main] バーテンダー : 「今回の豆はロイヤルブレンドです、是非に」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「わたくしも、お紅茶を頂けますかしら」噛み締めて味わった幸福感に打ちのめされてちょっと落ち着いている
[main]
世明 光 :
「ありがと、ね」
ずず、と一口。
下が黒の奔流で一気に洗われていく。これなら残りもすべて食べれそうだ。
[main]
バーテンダー :
「かしこまりました」
「では、今回は……ダージリンで」
と言って用意をしていく。
「そちらのお客様は?」
作業の直前、ハセベへと。
[main]
ハセベ :
「あ、俺は……えーと」
「あっ、ほうじ茶で!」
[main]
バーテンダー :
「かしこまりました」
と再び用意に入った。
[main]
世明 光 :
珈琲をちびちび飲みながらデザートを回し食いしていく。
ふふふ、イグノーベル賞は私が総舐めだね等と、くだらないことを考えた。
[main] エミリア・C・コードウェル : (いいお店でしたわ……こういうお店ってお酒とそれに合うものを出しているイメージがありましたけれど、がっつりしたお食事にデザート、食後のお紅茶まで取り揃えていますのね)
[main] バーテンダー : 「……お待たせしました。紅茶と、ほうじ茶にございます」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「ありがとうございますわ!」ぱっと顔を輝かせてカップとソーサーを受け取り、まずは香りを確かめる
[main]
ハセベ :
「ありがとうございます」
ふー、ふー、と冷まして、一口。
おいしい。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
そしてそのまま口に含み……
鼻を抜けていく複雑な香気を、静かに楽しむ
[main]
世明 光 :
「んん~……香りもいい。カフェインが染みて脳がいい感じになってくる……」
糖分も入って、ベストコンディションだ。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
喉の奥に流れ落ちる頃にはすっかり口の中を染めていた甘みは消え、残り香だけが余韻としてある
二口目以降は紅茶本来の香りと味だけを味わうことができる
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「……ごちそうさまでしたわ」入ってきた時の様子が嘘のように神妙な様子でカップを置き
「美味しかったですわー……」ほふぅ、と息を吐く
[main]
世明 光 :
「んしょ」ほっぺについたクリームを拭って、両手を合わせる。
「ごちそうさまでした。最後までトッポみたいな満足感だった、よ?」
[main] バーテンダー : 「喜んでいただけて何よりです」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「大満足ですわ……絶対次も来ますわね」
[main]
世明 光 :
「……さて、満足したし」
「名残惜しいけどお暇するとしようか、な」
「二人とも、ありがとうね」
[main]
ハセベ :
「あ、お疲れ様です!こちらこそ…良い経験出来ました!」
「……帰り道は本当、気を付けてくださいね」
[main] エミリア・C・コードウェル : 「こちらこそ、ありがとうございましたわ!次はパスタも頼んでみようかと思いますわ!」
[main]
世明 光 :
「ふふ、心配には及ばない、よ」
「私はステーキ……ううん、食べきれるかなぁ」
[main] 世明 光 : ではお会計を済ませて、扉を開けます。
[main]
エミリア・C・コードウェル :
「わたくしももうそろそろ帰るお時間ですわね……」
「美味しかったし、楽しかったですわ!店主さんもそちらの方も、ありがとうございましたわー!」
[main] バーテンダー : 「ありがとうございました、お二人ともお気をつけて」
[main]
ハセベ :
「はい、こちらこそ!」
「またどこかで!」
[main]
世明 光 :
そのまま夜の闇に消えていきました。
多分、近くでサイレンが鳴ってます。救急車の。
[main] system : [ 世明 光 ] HP : 1 → 0
[main] 世明 光 : ビーッ
[main] エミリア・C・コードウェル : 「おつりは要りませんわ~!」と財布からお札をガっと掴んでトレーに置いてたたたっと走って行きます
[main] エミリア・C・コードウェル :
[main] system : [ エミリア・C・コードウェル ] 財産 : 60 → 50